国土交通省‐「違法貸しルーム」の是正指導状況を公表
平成26年11月28日に国土交通省 住宅局建築指導課は、「違法貸しルームの是正指導等の状況について」のリリースを出しました。
いわゆる「脱法ハウス」と呼ばれた建築基準法や消防法の規定を満たさない建築物の問題です。小スペースに区切られた住居用のシェアハウスで、避難や防火、採光など、住居としての安全性に重大な問題があり、一時テレビでも大きく取り上げられました。
国土交通省では実態調査と対策に乗り出し、現在でも引き続き情報提供を求めています。
国土交通省と総務省消防庁が、建築物の建築確認などを行う自治体担当課に、立入調査や情報提供の強化を求める通知を出したことに伴い、各自治体でも専用ページを開設していますので、一度お住まいの自治体や関係する自治体の名前で検索してみてください。
[国土交通省]
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000052.html
[東京都]
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/kijun/kn_k14.htm
[埼玉県]
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/kenntikukizyunnhou/ihoukashirumu.html
[大阪府]
http://www.pref.osaka.lg.jp/kenshi_anzen/dappouhouse/index.html
[兵庫県]
http://web.pref.hyogo.lg.jp/ks29/ihoukasiruumu.html
国土交通省が平成26年10月31日時点での状況をまとめた資料によると、
立入調査した対象物件1954件のうちの8割近くの1508件が東京都で、全体の9割が都心部周辺の物件という結果が出ています。
主な違反内容は、非常用照明装置関係、防火上の間仕切壁関係、採光関係、竪穴区画関係、排煙設備関係などとなっています。
低所得者層の若者や外国人の利用者が多く、敷金や礼金、保証人まで不要ということ、また1室を細かく分けている為、月々数万円程度で借りられるのが魅力です。
低所得の若者の労働人口が多い都心エリアに集中するのも当然で、一般の利用者にとっては、建築基準法や消防法の違反よりも現実の生活費の問題の方が重要です。
ただ当然安全性から考えれば、火災などの事故が起きた場合に、大惨事になることは免れません。実際に火災事故も発生しています。
毎日新聞「脱法ハウス 火災で発覚 3畳12室に十数人」
http://mainichi.jp/shimen/news/20140409ddm041040039000c.html
事故を未然に防ぐ、また事故が起きても安全に避難できる、その為の法律であり、野放しの状況は看過できるものではありません。 当然役所への届出なしの改修でしょうし、法定点検の対象であっても未報告か、若しくは指摘なしで報告されていると想像できます。
昨今では、全国的な空家の問題も出てきており、あの手この手で入居者を確保したいのもオーナーの本音でしょう。
適法な改修であれば良いですが、グレーゾーンで改修を行う業者がたくさん存在することを考えると、今後取り締まりが強化される中で、一部ではさらに巧妙化する懸念もあります。
こうした貸室が若年貧困層の住まいの受け皿になっているという指摘もあり、需要があることは間違いないので、安全性を確保し適法な形で運営する方法はないのか、シェアハウスの新たな形を期待したいところです。
[参照]
国土交通省-「平成26年11月28日 違法貸しルームの是正指導等の状況について」
http://www.mlit.go.jp/common/001062212.pdf
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- 2015/4/1