『病院及び診療所の防火設備に係るフォローアップ調査の状況について』公表
平成25年10月に発生した福岡県福岡市の整形外科火災事故を受け、全国で実施された緊急点検のその後を追加調査したフォローアップ調査の結果を、国土交通省住宅局建築指導課が平成26年8月29日に公表しました。
(※調査結果は平成26年3月31日時点)
調査事項は2つで、
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【1】無届による増改築等の有無及び
無届による増改築等があった場合の当該部分の建築基準法令への適合状況
【2】防火設備の状況(管理の状況を含む。)
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となっています。
また当然ながら、建築基準法令に違反する事項がある物件に対し、「迅速な違反是正に取り組むよう特定行政庁に要請しております」と記載されています。
内容を見てみましょう。
まず、【1】の無届の増改築について、
調査対象物件16,186件のうち、建築基準法令に関する違反があったものが470件。
その470件のうち、是正済みの件数は64件で、割合では13.6%となっています。
主な違反の内容としては、
●防火区画関係・・・262件(うち防火設備関係・・・243件)
●耐火建築物関係・・・262件
●非常用照明関係・・・157件
●排煙設備関係・・・69件
などが挙げられています。
物件によって複数違反もありますので、多くの項目で違反と判断された建物も少なくないようです。
また「その他」としてまとめて『構造耐力(法20条)、容積率(法52条)、建ぺい率(法53条)等』の違反があった物件が171件あげられています。
無届による増改築等を把握した件数が全体で571件ですので、約3割の建物に『構造耐力(法20条)、容積率(法52条)、建ぺい率(法53条)等』の違反が見つかったことになります。
この中には、短期間での是正が難しいケースが多くあると考えられますので、今後どのような形で調査を継続し、是正指導を行っていくのか注目です。
次に【2】の防火設備の状況について
調査対象物件16,186件のうち、違反を把握したものが1,778件で、全体の11%になります。そのうち是正済みのものが726件で、約40%の物件がすでに是正したと報告しています。
こちらの主な違反の内容は、
●防火設備の閉鎖又は作動の状況・・・963件
●区画に対応した防火設備の設置の状況・・・425件
●常時閉鎖の防火戸の固定の状況・・・418件
●閉鎖又は作動の障害となる物品の放置の状況・・・369件
と続きます。
すでに約4割の物件で是正していることから、比較的短期間に是正しやすい項目ですので、施設側もすぐに対応したものと思われます。
都道府県別の違反件数、是正済み件数も公表されていますが、各行政によって温度差があるように感じます。
是正指導を行った件数に対して、ほぼ是正済みとなっている行政もあれば、まだまだ是正件数の割合が1割にも満たないところもあります。
以上、公表内容についてみてきましたが、違反を把握した以上、行政も対応をしていかなければならず、今後どこまで継続的に今回の調査を追跡して行くのか、注目していきたいと思います。
[参照]
国土交通省-報道・広報 「病院及び診療所の防火設備に係るフォローアップ調査の状況について」
http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000499.html
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- 2015/4/1